「これは……鍵?」


中身は、青空に白い雲が浮いていて、そこに虹が架かっている絵が書いてある鍵だった。


うそ…間違いない、この鍵は…。



「鍵……鍵?!えっまさか…合鍵?!」

さらに声を高らかに明日香が叫ぶ。


ア・イ・カ・ギ?!


啓太の部屋の鍵?!

な、な、何で!?


あたし、彼女のフリするってだけだよ?!そんな奴に、自分の家の合鍵渡しちゃっていいの?!

全然行動パターンが読めない…。



明日香がやっと落ち着きを取り戻して、優しく笑い、あたしの肩に手を置いた。

ああ、これは面白がってる目だ…。



「美園、あたし嬉しいよ。直樹先輩のことは諦めたのね」

「だから~…」

「あの人と幸せになりな!もう、嫁にもらってもらいなっ!」

「だから違うんだってば~!!」

「何言ってんの。友達でしょ!暖かく見守るよ」



だから~トモダチだからこそ分かって欲しいのに~!


その瞬間チャイムが鳴った。

ざわつく教室。それぞれが自分の席に戻り始め、次の授業の準備を始め出した。



「次の授業中、ニヤけちゃったらどうしよ。愛って素晴らしいね。じゃ、ごきげんよう~奥様」


「だから違~う!」


思わぬプレゼントと、ある意味薄情なトモダチの祝福によって、さらにパニックにおちいってしまったのだった。