眠い。眠いざんす。


あたしは目障りな目覚まし時計の音に起こされ、しぶしぶ体を起こした。

昨日、ずっとお菓子作ってて、ラッピングとか凝ってる内に深夜になってしまいましただす…。



あたしはフラッと壁に掛けてあるカレンダーに目をやる。

赤いハートで囲われた数字。


『14日』



さって、起きなきゃ!

今日は久しぶりの啓ちゃん家だし!


あたしは急いで顔を洗いに階段を駆け下りていった。


―…


寒いけど、あたしはるんるん気分でバスに乗り、学校へと向かった。

校門へと向かうまでに、あたしは鮫島の姿を見つけて「あっ!鮫島」と呼び止めた。



相変わらず軽そうで、そんでおまけに眠そうな鮫島が、「う?」と振り返った。

あたしは、「うわ~、朝っぱらから、テンション低いよ?ほら、しっかり!」



と小突いて、手元の紙袋をあさった。



「うっせぇなぁ~…、つか、お前がテンション高ぇよ、朝から…って、何?」

「はい!」




あたしは、小さいラッピングされた小袋を渡した。

鮫島は目の高さにそれを持っていき、



「ハッ、まさかっお前、啓という奴がいながら、俺に本命……っ!!」



鮫島が女々しく口を押さえておどけたので、あたしは足蹴りをくらわして、


「違うっつの!義・理!義~理~~」と舌を出した。




「色々、ありがとね。見た目アホな、恋のキューピットさん」

「何か今、余計な言葉が入ったんすけど…!」

「まぁまぁ、とにかく、鮫島には色々世話になっちゃったからさ!食べて」




そう言って、あたしは鮫島の横を通りすぎた。


鮫島は、「もう喧嘩すんなよ~」と笑って、手を振った。



あたしが「余計なお世話~」と笑い返すと、ホームルームの予鈴が鳴った。

やばいっと足を速めた。



鮫島、ありがとう!本当に、本当に、お世話になりました。