あたし達、やっと恋人同士になれました。

もうフリとか、ニセモノじゃなくて、本物の恋人同士。



本当に今でも、夢じゃないかって思う。



でも、ほっぺをいくら引っ張ったら、すごく痛かったから、これは覚めない夢だ。

12時になっても、魔法は解けない。



「美園~こっち、こっち」

「啓ちゃん!」


日曜日。

あたしは、啓ちゃんと駅前で待ち合わせ。



「走ってきたの?」


軽く息を切らすあたしを見て、啓ちゃんが気使う。



「啓ちゃんの姿見つけて、急げ~って…」

「今、待ち合わせ丁度だよ」

「えっ?」



啓ちゃんが腕時計を見て、嬉しそうに笑った。



「何か嬉しくて、15分前に着いちゃったの」


うひーっ!

その笑顔は反則ッス!


瞬・殺!


照れながら笑う啓ちゃんが、もう可愛くて可愛くて、あたしはキュン死しそうだった。




何か改めて考えると、すごい事だよね。


啓ちゃんが、あたしの彼氏なんだ。

逆に言えば、あたし、啓ちゃんの彼女なんだ。




あたしが啓ちゃんの一番なんだ。





そう思ったら、一人で興奮しちゃうあたし。

今までも二人で出かける事はあったけど、本物の恋人同士になってからは、初めてのデート。




きゃ~っ!