「父さんの仕事の都合で、海外に住んだ方が都合いいってことになってさ、家族でアメリカに住むって話だったんだけど…、俺、アメリカなんて行きたくないし、何とか説得して日本に残ったんだ。家は人に今貸してる。で、俺はマンションを借りて一人暮らし」


家庭事情は大体分かったけど…別に、もう高校生なんだし、普通に一人暮らしくらいありえるでしょ?!


「だからって何であたしが彼女のフリしなくちゃいけないのよ!」

「俺の母さん、子離れできないっていうか、何ていうか…すっげぇ心配性なんだ。それでもう、俺を一人残してきたことを後悔して、グダグダと…」



何それ!そんなの親バカじゃん!

あたしはとんでもない親子に巻き込まれたみたいだ…。


「だから頼む!美園ちゃん!」


さらに声を大にして交渉を試みる啓太。


「嫌!」

「お願い!」

「無理ったら、無理!他当たって!」

「頼むよ…美園だけが頼りなんだ」


…う、かわいい。

そんな捨てられた犬みたいな目で見られると…「ま、悪くないかなぁなんて思っちゃうじゃん。って、またあたしのバカ」



あれ?あたし、今…?


「えっ、じゃあ、いいの?!マジで?!」

「えっ、あたし心の声もれてた?!」

「ありがとう、美園!愛してる!」



ええ~~?!

そう言って、啓太は目を潤ませて笑い、あたしの手を両手で握った。



あたし…あたし…!

これからどうなっちゃうの~?!