「啓ちゃんが、大好きだったよ…」
そう言って、あたしは啓ちゃんの手を握った。
あったかい。優しい手。
啓ちゃんの表情は見ない。
見なくていい。
大好きだったよ、啓ちゃん。
あたしはそっと手を離した。
手を繋いだのは、あの空色の鍵を、啓ちゃんの手に返すためだった。
そっと立ち上がり、呟く。
「……ばいばい」
変わらず空は綺麗で、歩き出したあたしは静かに涙を流した。
大好きだったよ、啓ちゃん。
本当に本当に、大好きだったよ。
“ひとりになるのが怖いから 僕は目をつぶるんだ―…”
大好きだったよ―…。