しばらくして、担任が教室に入ってきた。
いつも無精ひげなのに、なぜか今日はしっかりと髭を剃っている担任を見て、あたしは、今日提出の読書感想ノートを忘れたことを思い出した。
朝のSHRが終わると、すぐに体育館に移動となった。
冬の体育館は、寒い。
ありえないくらい寒い。
今日はジェット、ついてないのか。
長々とした校長の話に、皆立ちながらイビキをかいている。
あたしの目の前の明日香も、あくびをしたり、足を動かしたり、時計を見たり、落ち着かない。
そんな中、あたしは、横を見た。
キョロキョロ、キョロキョロ。
隣の隣のクラスを目でなぞる。
啓ちゃん、どこらへんにいるんだろう?
今日、帰りのHRが終わったら、中庭で会うことになってるんだけど……でも、何か、やっぱり気まずいよなぁ。
あたしは、昨日の啓ちゃんの涙を思い出していた。
頭の中で、水道の水がシンクに落ちていく音が、繰り返し流れる。