あれ、今、1月だよね。

もう春が来たのかしら。


紛れもなく、部屋に入ってきたのは、愛美さんだった。

愛美さんは、桃色のシフォン素材の服を着ていた。


花が咲いたみたいに、明るい春色が差した。



……何で、来るの…?

遊びにいくね、なんて社交辞令かと思ってたのに。


ぼーっと立ち尽くして黙っているあたし達を、愛美さんは、「なに、変なの」と言って笑った。

愛美さんとぱっと目が合った。



「あ、この前の!」

「あ…どうも」



またお辞儀しちゃったし…。

あたしはわざとらしく髪を耳にかけたり、足を動かしたりした。



「啓、ごめんね。アポも取らないで。急に思いたって来ちゃった」


愛美さんはそう言って笑い、「いい部屋ねぇ~」と部屋を見渡した。

ポポを見て、「可愛いねぇ、君~」と頭を撫でたりしている。





「何しに来たの」




啓太が小さく愛美さんを睨んで言った。

しっかりとしていて、冷たい声だった。



「話があって」



愛美さんはそう言って、啓太を見てから、あたしを見た。




あれ、なにその目は。


啓太と話があるから、席をはずしてほしいって?そう言いたいのかな。

あたし、お邪魔虫?



あたしは、唇をきゅっと噛んで、啓太を見た。