「ドリンクバー4つと、苺パフェ、ベリーベリーチーズケーキ、以上でよろしいでしょうか?」
「あ、はい…」
「失礼致します」
店員さんが深くお辞儀をして、メニューをさげた。
店員さんの、後ろでしばったゴムについていた花の飾りが揺れたのを、あたしはぼんやりと見ていた。
「あたし達、先、ドリンクバー行くね!」
「うん」
深夜なのに、騒がしいレストラン。
あたし達は、一番隅っこの窓際の席に座っていて、窓の外では、慌しく車が行き来している。
明日香と京吾くんが一旦席を立ったから、今、席にはふたりだけ。
ちらっと、横の啓ちゃんを見ると、顎に手をついて、遠い目で窓の外を眺めていた。
あたしは、唇をなめて、お冷を飲んだ。
味、感じない。
そりゃあ、これは水だから、味はしないけど…そうじゃなくて…。
あたしは、30分前に起きた事を鮮明に思い出していた。