馬鹿みたい。

我ながら笑えるよ、ほんと。



思わず啓太の部屋を飛び出して、今、一人で街を歩いている。

街には、眩いほどの光が溢れ、きらきらと輝いていた。



あーあ、何してんだろ、あたし。



虚しい気持ちが体中に充満していくのが分かった。



その場の勢い?

あんな事、言うつもりなかったのに。



一体、何人の恋人たちとすれ違ったんだろう?


今、あたしはひとり。

ひとりだけ、この幸せな街から浮いている。




あたしは、サンタが風船を配っているのを見つけた。



どっかのバイトか、店員さんのコスプレだと思う。

かなりうさんくさいけど、でも、本当のサンタクロースみたいだ。


幸せを配るサンタさん。




「あ~っ」


声をする方を見ると、子供がもらった赤い風船を手放してしまった所だった。

あたしは、風船の行方を目で追った。



どこまで行くんだろう。

風船はその内見えなくなり、冬の空へ消えていった。