「お母さんね、お兄ちゃんの入学式に出るから綺佳の入学式には行けないから。」
入学式の朝お母さんに急にそんなことを言われた。いつだってそうだった。いつもお母さんはお兄ちゃんばっかり優先した。

上野 綺佳。
今日私は中学校に入学する。

「じゃあ、お母さんもう行くからちゃんとして家出てってね。…ばいばい!」
そう言うとお母さんは家を出ていった。


「…はぁ」
私は小さなため息をつき準備をして家を出た。


「おはよっ!綺佳ちゃん。」
彼女は小学校からの友達。
佐藤 悠莉。
「おはよ。」

「綺佳ちゃんめずらしくテンション低くない?」

「めずらしくはよけい…。うちだってテンション低い事もあるのっ!」

「はいはーい」
悠莉はそう言った。