『う゛~ん・・・これもいいんだけどな』
 でも、こっちのほうが・・・
 あたしは夕食に着るワンピースドレスを手にとって見る。
 『決めれない』
 「しょうがないな」
 『あたしに自分で選ばそうとするのが駄目なんだって』
 鏡の前に立って自分に重ねてみる。
 「俺がえらんでやる」
 クスッ。っと笑うから、悔しい。
 あたしは注文をつけた。
 『可愛くって大人っぽいのがいいな』
 わかった、わかったと流される。

 「そうだな、これがいい」
 ロイの厳選されたワンピースドレスがあたしの体に合わさった。
 『理想・・・通りです』
 なんでさっきまでこのドレスを見なかったんだろう。
 首を傾げたあたしは、店員さんに奥に連れて行かれ服を着替えさせられた。 

 「思った通りだ・・・」
 ロイの長い指があたしの髪に触れられ、身を竦めてしまう。
 『わぁ・・・っ』
 スッっと付けられたお花の髪飾り。
 「ん。行くぞ」
 『雪茂さんなんて言うのかな』
 「なに、聞き流しとけばいい」

 




 *。+*+。*。+*+。*。+*
 



 「おぉ、雪茂帰ってきてたのか」
 「帰ってきてたのか。じゃありません」
 「悪いな、雪茂。楽しかった」
 子供みたいに笑うロイ雪茂さんは何も言えなかった。