「なに、それ?どうゆう意味?」
もがけばもがくほど回った腕の力が強くなるから、半ば諦めるようにされるがままに質問。
暫く沈黙の後、きつく抱きしめた腕が緩んで、でも離してはくれない祐介が口を開いた。
「新しい人体模型がこの学校にきてから、第2理科準備室に女の幽霊が出るって噂があったの知ってる?」
「へっ?あ、うん薄々。でも見たことないよ」
「当たり前だろ、幽霊の正体はアンタなんだから」
……………………はぁ!?
「なんで?」
「彩音の泣き声が不気味に響いてたんだよ。正体が彩音だって知ったのはこの前ここで会った時。でも……去年の夏休み過ぎてからの噂だから、彩音はずっと無理してたんだな……」
祐介の緩んだ腕は腰のところでクロスされてる。悠斗とは違う匂いと体温に包まれてるのに、不快感がない。
意地悪な口調なのに、なんか優しく感じて私の涙腺がそのまま崩壊した。
「だって、私っ……悠斗の事いつだって信じてたんだよっ……」
祐介はただ黙って泣いてる間、ずっと胸を貸してくれた。
「なんで彩音はそうまでして我慢すんだよ。そんなに好きなのか?」
「……うん。好き、だった。でも……本当に今回で懲りた。やめにする。1年目が最後の日」
涙でぐちゃぐちゃ。祐介の制服にくっつかないように離れたら、また引き寄せられて多分汚した。
うん、私のせいじゃない。知らない。
「この前約束した店、連れてってやる。だから今日の事は忘れろ」
「……祐介、なんでも知ってるんだね。悠斗のファン?」
「救い様のないバカだな」
「だって……」
「日曜、バイトは?」
「休み貰ってる」
「俺は夕方からバイトあるから、午前中からアンタの時間貰っていいか?」
「……いい、けど」
「なんだよ」
「なんで連れてってくれるの?」
「理由が必要か?」
「……だって、同情する義理はないんでしょ?」
「まぁ、そーだけど」
