カウントダウン



「んな、わざわざ言葉なんていらないって思ったんだけど、ごめんな。じゃあ、改めて今日が記念日だ。好きだよ彩音。お前も君付けなんてよそよそしいから悠斗って呼べ」




本当に嬉しかった。
まわりの女の子たちにも、こんなに優しい悠斗は知らないとか言われて、好き合ってるって幸せで。





夏休みには、初めてバイクに乗せてもらえた。免許取りたてだって聞いて不安だったけど、慣れた様子だったからもしかしたら人には言えない悪い行いをしていたのかも。



少しずつ悠斗を知った。



そして、バイクで行った、夜の海。



「好きだよ、彩音……」



2回目のキスは、ここだった。



「私も、好き」



馴れない私は、悠斗からの大人のキスについていけなくて、苦しくて涙が滲んだ。



「ヤバい。その顔そそる……」


「なにが?」


その意味も分からないくらい子供だった。



「ごめんな、彩音。本当は観覧車のてっぺんでしてやりたかったけど、俺……実は高い場所が苦手で。本当にごめん。でも、これがファーストキスって事じゃ、ダメか?」



不安げに覗く悠斗は、私の事をこんなにも想っていてくれるのが分かって、月が見える静かな海でキスだなんて、すごくロマンチックで……。



ますます好きになった。
高い場所が苦手。そんな弱みさえ言ってくれて、幸せで自分から抱きついた。



「ありがとう悠斗、大好きだよ。嬉しかった」



「ずっと一緒にいような。俺から離れて行くなよ」






誰かに自分が必要とされる事がこんなにも幸せだって、教えてくれた。



悠斗のためになんでもしてあげたいと思ったし、色んな事、もっと知りたいと思った。



そして夏休み中は、悠斗の両親が海外にいる事を知った。中学まで親戚に育てられて、でも折り合いが悪くて高校生になったら一人で暮らしたいって言って今のマンションに引っ越したということ。


お金さえ与えればいいと思っている両親に憤りを感じているのは、私と一緒だった。