「じゃあ好きになれよ。俺、お前が気に入ったから」
「な、なに言ってんの?遊びなら他あたってよ。私みたいなの、めんどくさいと思うよ?」
「ウルセェ。俺の事、好きになったら言えよ。で、携帯出せ、赤外線。ほら早く」
全部強引だった。
この日を境に学校でも声をかけられるようになったし、帰り道に送られる事も。
そして、中学の時から酷かったって言われてた女遊びの話がピタリと無くなった。
いくら誘っても断わられる。本命が出来たんじゃないかって、そんな話題で持ちきり。
私はと言えば、日に日に増える会話やメールに、嬉しくて……憧れだけじゃ満たされない自分がいて、好きな気持ちがどんどん溢れていった。
だから、本命が私なんじゃないかって、自惚れて……浮かれて。
「ねぇ、まだ俺の事好きにならない?」
7月の最初の頃、家の前でいつになく真剣な表情をした悠斗に捕まった。
私はこの時初めて、素直になったんだよ。
「本当は、悠斗君が私を知る前から好きだよ」
「早く言えよバカ」
そう言ってまた大好きな笑顔を見せてくれた。
でもこの日が付き合った記念日じゃない。
私は好きって言ったけど、悠斗は言わなかった。気に入ったとは言われたけど、それは他の女の子にも言ってるだろうし。それに、手を繋ぐわけでも、キスをするわけでもない、……もちろんその先も。
私が好きって言ったからって、何も変わらなくて不安で泣いた時もある。
私たちの関係は一体なんだろうって悩んで、勇気を出して聞き出そうとしたのは夏休みに入る前日。
「彩音は俺の彼女だよ」
聞き出す前に、悠斗の取り巻きの女の子たちに宣言をされた。
「「うそ!?」」
疑ったのは取り巻きの女の子たちだけじゃなくて、私もその一人。
「んだよ、彩音まで。つーか、好きって言ってくれたじゃん、嘘だったのかよ」
「嘘じゃないよ!!だって付き合おうとか言われてないし、悠斗君の考えとかわかんないし……」
