「見た目だけじゃないんだぜ?俺と違って?この味よく出せんなって思った」


いただきますと言いながら、具だくさんオムレツを一口でがぶり。



「うめえ」


「嘘だ……祐介は色々言われた私に同情して……」


「だから、アンタに同情する義理はねぇよ」



唐揚げを一口。もぐもぐしながらにっこりと笑った。


「本当にうめえよ。悠斗がなんでマズイって言ったのかマジ分かんねぇ。なぁ、悠斗なんで?」



私も聞きたかった。なのに


「企業秘密。てか、ひとの彼女の弁当食うなって。祐介だからいーけど。お前雑食だもんな」



笑いながらそう言って教えてはくれなかった。



「確かに何でも食えるけど、悠斗が今そのケバゴンに食わされてる味気ない弁当は食いたくねぇ。てか玉子焼き焦げてんじゃん」



……祐介、あなたって恐ろしい子。ケバゴンは言葉のあやなの。私まで責められてる気分。


でも!真っ赤な顔をしながらワナワナと震えてるケバゴンには申し訳ないけど、祐介の言葉が凄く凄く嬉しくて、涙がこぼれそうになる。



「本当に、マズく、ないの?」



「自分の舌を信じろって。悠斗がちょっと残念なんだって。好きな男の意見も大事かも知んないけど、周りの意見もちょっとは聞けよ。てか、昨日だって残さなかっただろ?マズけりゃ俺食わねぇから」



ヘラヘラ笑う祐介は、毒舌だけど、デリカシーないけど、それでも私の味方だった。



嬉しくて、嬉しくて、この気持ちをお腹の底から叫びたい気分。



「あ、ありがとう。祐介、自信持てた。わ、私友達の所行くね、田仲君だっけ?どなたか存じませんが席ありがとう」



慌てて教室を飛び出て、向かう先は屋上。


だって、叫びたいっイヤッホォォウ!!って!!




バタバタと足音を鳴らして階段を駆け上がる。




嬉しいよ……本当に。