「悠斗、いるの?いらないの?」
「だからいらないんだって」
「ケバゴンには聞いてないよ」
ムカついたままつい答えちゃったら祐介が吹き出した。
「……今日は、いらねぇ」
「分かった」
いらないって言ったのは悠斗。なのになんで驚いた顔をするんだろう。
ああ、でもほんの少し前は、泣き出したり私を選んでよ、なんてすがった事もあったから淡々と分かったと言った私に驚いたのかもしれない。
昨日だって涙目で逃げたしね。
「祐介、はい。体調悪くなるって。どーする?」
「食うよ。ありがとな。あー彩音もここで食えよ。田仲君、席借りるねー」
「ちょっと、勝手になによ」
「まぁまあ座れって」
相変わらずの自由人。
腕を引かれて田仲君という人の席に座れば、ざわざわっと声が聞こえた。
「ちょっと祐介君、マジでやめときなよ」
そんな事を言ってる女子に向かって、祐介は私の作ったお弁当箱を見せた。
「アンタら見てみろよ。コレ全部手作りなんだぜ?このボリュームにこの盛り付け、アンタらここまで上手く作れんの?」
「祐介……?」
その言葉は、悠斗を取り巻く女子達と、その様子をチラチラと野次馬しているクラスの人達を静かにさせた。
「すげえ……」
その言葉をぽつりと呟いたのは田仲君らしき人物。
祐介の言葉がドスの聞いた声だったからか、お弁当を見たからなのかは知らないけど、確かにそう呟いた。