昼食を済ませてから教室へと戻ったら、いつものように心配そうに優衣が顔を覗いた。


「だいじょーぶだってば。……ねぇ優衣、山崎祐介って知ってる?悠斗の友達らしいんだけど」



ただなんとなく視線をずらしたかっただけ。祐介の事、他のクラスなのに知るはずもないって思ったし、


ただ、話題をずらしたいそれだけなのに……。



「山崎祐介って、彩音の彼氏と2トップじゃん」


「2トップ?なにそれ」



「彩音本当に疎いよね。今カノに言うのもアレだけど、悠斗君は学年じゃダントツのイケメンだし、女の子の数も……それなりでしょ?山崎祐介君も、悠斗君なみのルックスだし、有名なんだよ。ただ……」


「なにかあるの?」


「うん。祐介君の場合、彩音の彼氏みたくモテない。いいのは見た目だけって言われてる」



いいのは見た目だけ……って、さっき祐介が言った私のお弁当の評価みたいじゃん。



「失礼な話」


「まぁ彩音が言うのも分かる。でも悠斗君って全体的にモテる要素満載でしょ、だけど祐介君の場合デリカシーがないので有名だよ」



後に続く言葉は、



人前で平気でオナラとかゲップとかする、とか


イケメンなのにハナクソほじってたのを目撃した人がいる、とか


想像したら笑えて、笑いを堪えてる私に対してまだまだ祐介の評価が続いた。



女子に対してかなりの毒舌で、化粧や香水で身を固めた女子が近付きでもしたらクソミソに貶される、とか


勇気を振り絞って告白をする女子に対して、何を言ったのかは明かしてくれないから謎なんだけど、告白した女子は必ず、二度とあんな男に恋はしないと口々に言う、とか



悪い人たちと一緒にいたのを見たことがある、とか


喧嘩っ早くて負け知らず、とか


男とツルんでるのしか見たことないから実はホモ疑惑が、とか


実は悠斗狙いなんじゃねーの、とか



どこまで信じていいのやら。


本人、知ってんのかなこの噂。
たしかに口は悪かったけど。