「で、自ら遊ばれようって思ったんだ?」


「そうじゃないよ。だけど、あの笑顔をただ見てるだけじゃ嫌だったの。近づきたくて、必死に頑張って、名前を覚えてもらって、少しずつ知ってもらって、彼女にしてくれるって言われた時は本当に嬉しかった」



乙女心満載の話しはお気に召さなかったのか、 舌打ちをしてから残りのお弁当を食べていた。



「自分から聞いといてその態度?」



やっぱりムカツク。黙々と箸を進める祐介の隣りで私もヤケになって大きな口で食べた。



「……悠斗、基本いいヤツなんだよ。女はみんな外見しか見てねぇからそーゆーの気付きもしねぇでエロい事ばっか求めてっけど。そっか、ダテに彼女じゃねぇんだな」



ポツリと話してから私を見て、祐介はふんわりと笑った。



その笑顔に、不覚にもドキッと心臓が跳ねた。



気のせい!!ドキッとかないない!!


そりゃカッコイイ人だとは思うけど、彼は悠斗のお友だち。



「で、でも……もう終わりにするから。祐介に言われなくても、私愛されてないって自覚あるし、だけど色々けじめを付けるために1年目の記念日に別れるって決めてる」



優衣にしか言ってなかった事。なんで話しちゃったのかは自分でも分からない。
だけど、なんか馬鹿な女って言われたくなくて。


「記念日に囚われてて本当にいいの?」


「もうここまできたから意地になっちゃって」


「あとどんだけ?」


「約2ヵ月」


「バカじゃねぇの?アンタ真性のどMだな。やっぱ変態ちゃんだ」



「ほっといてよ!変態言うな!!」


キッと睨みつけたら祐介はまた笑ってた。心底バカにされてる?



「バカだな、悠斗にもそんだけ言い返せよ」


「え……?」



バカにしたような笑顔は急に優しくなって、箸を持っていた祐介の右手はいつの間にか私の頭を左右に往復していた。