お互いが譲ることが出来ない中暫く沈黙が続き、それを破ったのは祐介だった。


「……彩音、今日学校来なかったけど、悠斗昨日なんかした?」


「しねぇよ。あの後はただ家まで送っただけ。てか、お前が心配する事ねーよ。彩音なら大丈夫だって、俺は連絡貰ってっから」



虚勢を張るように、嘘をついた。


彩音からの連絡は一切無い。だけど、祐介の口振りで、祐介も何も知らないと知って、俺はアイツの特別な男なんだと主張したかった。


虚しさなんて、感じる隙もないくらい俺は妙に焦っていた。



「……そっか」


あからさまにショックを受けたような表情に変わった祐介から短いバイブレーションが聞こえたと思えば、帰ると一言告げて、一度だけ俺を見てそのまま帰った。



青春漫画みたいな爽やかな話し合いをしてフェアに戦うなんて、そんな事は俺と祐介の間だでは出来なかったけど、この時はこれでいいと思ってた。


まさか、自分の感情をコントロール出来なくなるくらい盲目になるなんて……そんな想像さえ出来なかった。



例えば、この日祐介に来たメールの相手が誰だったのか聞いていれば何か変わってたのだろうか?



俺は、彩音を苦しめるつもりなんてないんだ。


ただ、上手く愛せないだけ。


許して欲しい、ゆっくりでもちゃんと愛する努力をするから。



今まで待っててくれた彩音は、これからも待っててくれる、よな?