翔さんの諭すような言葉に何も言えないまま自宅へと帰った。





「アハハハハッやだママ超ウケる〜」


こっちの沈んだ気持ちも知らねぇで、自宅では兄貴と美空が爆笑していた。



「ウルサイんですけど、何時だと思ってんだよ」


「祐介こそ何時だと思ってんの?あ!!もしかして彩音ちゃんとデート?」


リビングでは母親と兄貴と美空がテレビを指差しながら笑っていた。


「彩音ちゃんってだあれ?やだママ会いたいな〜。張り切ってケーキ焼いちゃうから連れてきてよゆーちゃん♪てゆーか、美空ちゃんが知ってるのにママ知らなかったぁ〜。超寂しいんですけどぉ〜」



「……そんなんじゃねぇよ。ウゼェし」


「ウゼェとか、ゆーちゃんメッ!!ママにそんな口きいたら泣いちゃうっていつも言ってるじゃな〜い、……あ、美空ちゃん、たいちゃん、このおせんべいおいし〜」



「ウゼェ……」


昔からこの母親のテンションにはついていけなかった。


つーか、この歳で名前にちゃん付けされる俺と兄貴の身になってみろよ。



でも、さっきまでの憂鬱な気持ちは幾分マシになった。



自室に入れば鼻唄混じりのKYな男がタバコをくわえながらノックもなしに入り込んだ。



「……おい、何勝手にヒトのベッドに座り込んでんだよ」


「オマエ、兄貴に向かって何て口聞いてんだよ。泣いちゃうよ?てか、本当に泣きたいのはオマエのベッドだよな、たまには色っぽいネェチャン寝かせて欲しいってよ。彩音ちゃんとか」


「っざけンな!んな事言いに来たのかよ、タバコクセェんだけど」


「あー……何かあったんかなーって思ってよ。元気無かったし、彩音ちゃんと喧嘩でもした?つーか、もう付き合えたか?」


「ウルセーよ。んな簡単にいくかよ」


「……フラれたの?」


「そんなんじゃねぇよ!!てか、ビクビクしてフラれたとか聞くんじゃねぇよ、マジむかつくんだけど」


「あ、良かった。だよね〜、俺の弟だもんそう簡単にフラれないよね〜。いやぁメンゴ、メンゴ♪」


「……ウゼェ」