祐介をチラリ、見つめれば気まずそうに目で何かを訴えている。


悠斗も祐介も、何を考えてるのか分からない。


これから私はどうすればいいんだろう。



「翔さん、俺……翔さんの言う通り彩音を大事にします。俺も翔さんみたいな男になりたいから」


意志表明。
隣を見つめれば、真剣な表情で、何が悠斗を変えたのか、以前見た温かいオーラで私を包んでいる。


「泣くなよ彩音」


「泣いてないっ」


置いてあるティッシュでゴシゴシ。柔らかい笑顔を見せた悠斗が涙を指摘して拭ってくれる。



例えばこの言葉が本当で、私が好きになった悠斗のままでいてくれるとしたら……


そしたら私は悠斗ともう一度やり直していけるんだろうか?



そう思考を巡らしていた時、不意に左側の温もりが消えた。


繋いでいた手が離された瞬間、必死でそれを追うように無意識に祐介の手を掴んでいる自分がいた。



そうだ。


翔さん達が必死に悠斗を推奨しても。




どれだけ悠斗が素敵に誘惑しても、優しい目をしても、大金を顔色ひとつ変えずに私のために差し出してくれてても。





悠斗の本質が思いやりのある優しい人だと分かっていても。



私は……私の中の本能が



祐介を離したくないって思うんだ。




もう、とっくに歯車は狂い始めてた。