見るだけならタダだもん。 でも、絶対に買わない…。 「欲しいのか?」 「わっ」 すぐ横から声がして、びっくりした。 右隣を見ると、 いつの間にこっちに来たのか、 高志が顔を上げて、あたしの手元を見ようとしてる。 「あ、うん」 あたしはとっさに、可愛いと思った靴の下の靴を指差した。 「これが欲しいなって思って」 「ふーん…」 それはぺたんこの、可愛くもなんともない靴。 履けない物を欲しがることは、恥ずかしいことでもなんでもないはずなのに、 素直じゃないあたしは言えなかった。