なんだ。知り合いかと思って、ちょっと期待しちゃったよ。

それにしてもクルミさん凄いな。

冷静に彼の名札チェックしてたなんて。

私は彼の顔しか見てなかったから、そんな余裕なかった。

「橘さん。あなた、なかなかやるわね」

「へぇ?」

「だって彼、マーケティング事業部よ。」

「マーケ、ティング?」

「社長直属の部署。ほんの一握りの人しか入れないエリート集団の組織よ」

「いや、私、彼のこと何も知らないし」

「わ、時間だわ。私たちも急ぎましょ」