「坂井、急がんと間に合わんぞ」

「おお」

そう返事すると、彼は私を見て、

「じゃあ」と言い、去って行った。

え?

まだ話したい事いっぱいあるよ。

名前だって聞いてないし。

するとクルミさんが、走っていく二人を見ながら、

「サカイ テルユキかぁ」と呟くように言った。

「ええ~!クルミさん、彼のこと知ってるの!?」

「名札見た。
坂井輝之。マーケティング事業部」