ネットワーク事業部は総勢で３００人の大所帯だ。

事業部の中に五つの課があり、さらに複数の係に分かれている。
私が派遣されたのは、その係の中のひとつだった。

朝礼でみんなに紹介された後、係長の木村さんが席まで案内してくれた。

「この机を使ってください」

隣の席にいた女性が立ち上がり、私に軽く会釈した。

「彼女、小松さんです。
あなたの指導役になりますので、仕事の内容は彼女から聞いてください」

「はじめまして。小松クルミです」

首から下げてある身分証をみるとカタカナでクルミと書いてあった。

「クルミ？さん」

「珍しい名前でしょ。
でも、すぐに名前を覚えてもらえるから意外と得よ。フフ」