12月に入ると、街はクリスマス一色になった。

白と青のイルミネーションが並木道の木々を飾り、店先からはクリスマスソングが流れていた。

冬の寒さを和らげるようにオレンジ色の照明が無機質な建物の外壁を照らし、その前を寄り添うように人々が行きかう。

いつも見慣れた風景がこのときばかりは一変する。


私は駅前にあるファーストフード店の二階で
直子が来るのを待っていた。


窓際の席からは通りの向かい側に映画館が見える。

大学生らしき若者が大勢で騒ぐ姿。

その前を迷惑そうに横切っていく通勤帰りのサラリーマンたち。

待ち合わせのカップルたちも寄り添いながら入っていく。


気のせいか、いつもよりカップルの数が多く目についた。