でも今日はその場所に女性がいた。

通勤電車はいつも同じ顔ぶれだ。

それぞれ決まった定位置みたいなものがあるから誰がどこにいるのか覚えてしまう。


だから、見慣れない人が来ると場所が少し入れ替わる。


乗り込んできた彼はいつもの場所に人がいることに気がつくと、そのまま扉の正面に立った。


私との距離、

70センチ!

ドキン!

脈拍があがり始めた。


そして、発車のベルが鳴り終えたときだった。