私は彼に気づかれないように高校生の影から眺めていた。


すると、私の視線を遮るように高校生の一人が顔を出した。

男子生徒は私のほうを見ると、照れくさそうに微笑みかけてきた。

げ、違うよ。

何勘違いしてるの。

あんたのことなんか見てないって。


そんなことに気をとられている間に電車は駅に到着してしまった。

彼が降りていく。


つかの間の幸せはあまりにも短い。

まるで蝉のようだ。

蝉は長い年月、土の中で眠っているのに生まれて一週間ぐらいでその生涯を終えるらしい。


なんと果かない一生だ。

それに匹敵するぐらいの私の恋。

24時間待ち続けた最大のイベントが、たったの2分で終わってしまうなんて。

ハァ

一日が長いよ。


早く明日が来ないかな。


早く朝が来ないかな。