もちろん彼は私の存在など知らない。

多分、私には気づかないだろう。私のことなど見ないだろう。

それ以前に、今日はあの電車に乗っていないかもしれない。


もっと言えば、もう二度と会えないかもしれない。


それでも私は期待した。

また逢いたかった。


もしも逢えたときに

彼が私を見てくれたときに

変な印象だけは持たれたくなかった。


だから悩んだ。


でも、その悩みは心地よく、私を幸せな気分にさせてくれた。