120秒の恋

「ねぇ、どうして縁談断ったこと知らせてくれなかったの?」

「あのとき君に言えば、君は自分自身を責めたと思う。自分のせいで僕が左遷されるかもしれないとね。
そんな大きな荷物を君に背負わせることは出来ないよ」

「今日ね、三上さんに偶然会ったの。
縁談のことや転勤のこと教えてもらった。
でなければ、ここには来てなかった。
麗子さんと結婚してると思ってたから」

「結婚すると思った?」

「わからない。
もし麗子さんと結婚しなくても、もっとほかにふさわしい人がいると思った。
だから私は、あなたのこと諦めなきゃって努力したの。
でもそんなこと無理だってはっきり分かった」

「それが大事なんだよ」

「へぇ?」

「僕が強引に君のことを引っぱったり、説得して一緒になっても意味がないんだ。
自分から、そうしたいって思うことが一番重要だと僕は思うよ」

「わたしが気づくまで待ってくれたの?」