120秒の恋

「約束、覚えてくれてたの?」

「言っただろ?
自慢じゃないけど僕は約束を破ったことはないって」

「朝から待ってたの?」

「朝から待ってたよ」

「来るかどうかも分からないのに?」

「ちゃんと来てくれたじゃないか」

「もし、わたしが来なかったら」

「そしたら、また来年待つさ」

「来年も来なかったら?」

「5年でも10年でも待つよ」

「ほかの誰かと結婚してるかもしれないじゃん」

「そしたら、里美は僕のことをそれほど好きじゃなかったってことだな」

「そんなこと、あるわけないじゃん」

わたしは抱いていた両手にギュっと力を入れた。