「どしたの?里美」

驚いた直子が私の袖をつかんだ。

「わたし、行かなきゃ」

独り言のように呟く。

「行くって、どこに?」

「彼のところに行かなきゃ」

「だってあんた、彼の住所知らないでしょうが」

「ナオ、武志、ごめん。
わたし行ってくる。
・・・三上さん、ありがとう」


みんなをテーブルに残して、わたしは一人その場を駆け出した。

遊園地のゲートを出て、そのまま駅に向かって全力で走った。