やっとの思いで携帯を開き、彼の番号に電話をかけた。

心臓がドキドキした。

あの時の思いが鮮やかに蘇った。


呼び出しの電子音が鳴る。

みんなが私の携帯に注目した。


《おかけになった番号は現在電波の届かないところにおられるか電源が入っていない状態です》


「ダメだぁ、つながらない」

みんなが一斉にため息をつく。

「肝心なときに、あいつ何してるんだぁ」

三上さんが苛立ちながら言った。


《電波の届かないところ》


（うそ・・・）


わたしは無意識に立ち上がった。