オフィスに戻ったわたしは係長の許可をもらい会社を早退した。

とても仕事なんてできないよ


街をさまようように歩いた


どうやって帰ったのか覚えていないが
気がついたら、アパートの近くの公園にいた



わたしの存在が坂井さんの人生を大きく変えようとしている。


彼のサラリーマン人生を奪うことなんて私にはできない。


彼を愛する気持ちは誰にも負けない。

でも、彼が苦しむ姿なんて見たくない。


わたしが決断しなきゃいけないんだ。


わたしは自ら身を引くことを考えはじめていた。


公園のベンチでずっと考え込んでいると、鞄の中で携帯が鳴った。

彼からの電話だ。

彼は私が早退したのを知って心配してくれていた。