「あなたが原因ってどういうこと?」

「坂井さんのこと諦めるように言われたんです。神山麗子さんに」

「彼女に会ったの?」

「はい。
彼を苦しめたくなかったら、潔く身を引けって」

「それで彼がチームからはずされたってわけか」

「わたし、神山常務にお願いしに行きます。
彼をチームに戻してくれるよう頼んでみます」

「馬鹿言わないで。
あなたが行ったところで常務が相手にすると思う?
第一、娘のために彼をはずしたなんて認めるわけがないでしょ」

「そっか・・・」

「彼のことよりも、自分の心配したほうがいんじゃないの?」

「へぇ?」

「もし常務が本気だとしたら、契約社員のあなたをクビにすることなんて簡単よ。
・・・とにかく、今はじっと見守ることね」

弥生さんはそう言うと、またオフィスに戻った。