坂井さんがチームからはずされた。

私の中に衝撃が走った。


これが、神山麗子の言ってた彼が苦しむということなの?

私は書類を届けることを口実にマーケティング事業部に向かった。

もちろん、書類ケースの中身は白紙の束だ。


マーケティング事業部のオフィスはざわついていた。

私が坂井さんの姿を探していると、

遠くの方で私を呼ぶ声が聞こえた。

弥生さんだ。

私は急いで彼女に駆け寄った。



「チームからはずされたってどういうことなんですか?」

「今朝、部長から急に言われたの。
彼、いま事業部が進めているプロジェクトのリーダーなのよ。
それをいきなり代えるっていうもんだから、もう大騒ぎよ」

「坂井さんは?」

「いま取引先に説明に行ってるわ。・・・ねえ、彼に何があったの?」

「わたしです。・・・わたしのせいです」

「え?」


オフィスには大勢の人がいたので、私たちは屋上へと出た。