7階のオフィスに戻ると課長や係長をはじめ、みんなが私のことを目で追っているのがわかった。

前に坂井さんが言ってたけど、人の視線って結構敏感に感じるものだね。


「大丈夫?」

クルミさんが声をかけてくれた。

「うん。ありがとう」

一人でも味方がいると思うと心強いよ。


席に座って深呼吸をする。

そして机の上で封を開けた。


中には二つ折りの手紙が入っていた。


明日の火曜日の夜、食事をしたいとの内容だった。

差出人の名前は神山麗子。

どうやら常務の娘さんらしい。

(ついに来たかぁ)

わたしの恋は、まさに風前のともしびだった。