私の不安を打ち消すために、直子は坂井さんに会うと言い出した。

その日の夜、三人で会うことになった。


約束の場所は沖縄料理のお店。

彼が最近見つけた店で、私を連れて行きたいと話していたところだった。


店の奥に畳の座敷があり、そこに彼が待っていた。


「こんばんは」

彼はいつもの笑顔で迎えてくれた。

「すみません、無理言って。
今夜、出かけるって言ってたのに」

「大丈夫。明日に変更してもらったから」

彼は壁にかけてあったハンガーを取ると私と直子にくれた。

「上着、壁にかけて良いらしいよ」

壁に上着をつるして、彼の前に座った。