「ごめんね。クルミさん」

「謝ることないって。
香さんだって、橘が憎くてあんなこと言ったんじゃないと思うよ。
ちょっと不器用なだけだよ」


宇佐美さんに言われたとき、私は何も反論できなかった。

坂井さんのことが好きで、彼を追いかけてこの会社に来たのは事実だ。

彼のことばかり考えて仕事が手につかなかったこともあった。


私はいままで自分のことしか考えていなかった。

浮かれてばかりいて、知らず知らずのうちに周りの人に迷惑をかけていた。


宇佐美さんの言葉が、胸の奥深くまで刺さった。