出社しても今朝出会った彼のことが頭から離れない。

あー、駄目だ。
仕事が手につかないよ。


「橘くん」

「・・・おい、タチバナ!」

主任の呼ぶ声だ。


「はい!」


私は慌てて返事をした。


「ぼーっとして、どうかしたのか?」


「いえ、大丈夫です」


「頼んでおいた資料、11時の会議に間に合うか?」


「はい。出来ます」