120秒の恋

3人の話を聞いているうちに私が熱くなっていくことを察したクルミさんが、

「そろそろ戻ろうか?」と声をかけてくれた。


歩きながら私はプリプリ怒っていた。

「まったく失礼ですよね」

私がそう言うと、クルミさんはクスクスと笑った。

「これからは、人の噂をするときは十分注意しなきゃね。隣に誰がいるか分からないもの。フフフ」

「そういう問題じゃありません」

「ハハ。ごめん。
・・・でも結婚の話は信じてないでしょ?」

「何かの間違いだと思います。
彼はそんな人じゃありませんから」


噂ばなしなど信じてない。

信じてなかったけど、やっぱり気になった。


坂井さんは取引先との打ち合わせのため、朝から外出して工場にはいなかった。