120秒の恋

庭園に着くと、ものすごい数の人が来ていた。


日曜日だったし、桜が満開ということもあり、園内のいたるところに人がいた。


「すごい人だね」

行列を眺めながら彼が言った。

「みんな考えることは一緒だね。フフフ」


私たちは園内を一周することにした。


歩き始めてすぐに彼が

「迷子になるなよ」と言って、右手を差し出した。

私は小さく頷きながら、左手で彼の手を握った。

つないだ手から彼の温もりが伝わってきた。

改めて、私たちは恋人なんだと実感した。