120秒の恋

「そんなの悲しいじゃないですか」

「香さんなんて、私たち以上に悔しい思いしてると思うよ」

「宇佐美さんですか?」

「うん。
あの人、いろんな資格持ってるみたいだけど結局、派遣から抜け出せないままだもんね」


「能力で人を判断するべきです!」


「社員にしてみれば、派遣と同列なんて嫌なんじゃないの。
エリートは特にね」

「坂井さんは違います。
・・・あの人は違います」

「ハイハイ。ご馳走様。
・・・さあ、もう帰るよ。家まで送るから」


その夜は久しぶりに爆睡した。



〈正社員と派遣の不平等〉という思いは、その後も暫く私の中にシコリとして残っていた。