120秒の恋

「派遣のあなたと、うちのエース。
つり合うと思う?」


私は彼女の言葉を振り切るように部屋をでた。

高慢な態度が許せなかった。


その晩、私はクルミさんに付き合ってもらい、やけ酒を飲んだ。


「不公平ですよ。派遣を馬鹿にしてます」

私は完全に酔っ払っていた。


「橘の気持ちは分かるけど、これが現実なのよ」

クルミさんは冷静に答えた。

「だって、社員の人だって仕事できない人いっぱいいるじゃないですか。
クルミさんの方がずっと優秀だと思います」

「その時の運だよね。
就職のとき正社員に採用された人は天国。落ちた人は地獄。
地獄の中で、もがいているのが私たち」