「小松、少しは真面目に仕事しな」

ぶっきらぼうな口のきき方だった。

「クルミさんはちゃんと仕事してますよ」

私がそい言うと、宇佐美さんは鼻で笑いながら部屋を出て行った。


「いいよ、橘。
いつものこと」

「だって、あんな言い方ひどいじゃないですか」

「昔からだよ、あの人は。
向上心の塊。ものすごくプライドが高いんだよね」

「プライド?」

「自分が派遣であるということに劣等感を持ってるの。
だから私みたいに会社に男探しに来ているような女を見ると、腹が立つんだよ」

「そんな」

「男探してるのは事実だからね」

クルミさんは飲み終わった紙コップを丸めると、バスケットボールのシュートをするようにゴミ箱に投げ入れた。