「いいなぁ。
橘は坂井さんと順調かぁ」

会社の休憩室でクルミさんが羨ましそうに言った。


「クルミさんだって、必ずいい人見つかりますよ」

「三上さんがね~。独身だったら言うことなかったよなぁ」


「フフ。残念でしたね」

「あ。いま同情したでしょ?」

「そんなこと無いですよ」

「ハハハ」

「フフフ」


「あんた達、会社に何しに来てるの?」

窓際で雑誌を見ていた女性が私たちを睨みつけた。


宇佐美 香(ウサミ カオル)


隣の課で事務をしている人だ。

彼女はクルミさんと同じ派遣会社の所属だった。