不安な思いから解き放たれた私の目にうっすら涙がにじんできた。


「私、てっきり別れ話だとばかり、」

「え?」

「朝、大事な話って聞いてから、ずっと不安だった。
やっぱり君とは付き合えないって言われるんじゃないかって、ずっと不安だった」

「橘」

「馬鹿だよね、私。勝手に悪いほうに考えちゃって」

「済まなかった。不安にさせて。
軽いノリで言いたくなかったんだ。だから、朝から緊張してた」

「坂井さん、真面目すぎるよ。
フフ」

「フフ、そうだね」

「でも、そこが好きなんだよ、私」

「僕も好きだよ。君のこと」


「そうだチョコ」

私は鞄の中からチョコが入った箱を取り出し、テーブルの上に置いた。


「昨日作ったチョコです」

「ありがとう」

「今日、何個目ですか?」

「1個目だよ」

「へぇ?」

「愛の告白は1個だけしか受け取らないよ」


「・・・うん」

また涙があふれてきた。


2月14日

私たちの恋が始まった。