「今夜は私のために、
ありがとうございます」

「なんだか変な感じだね」

「え?」

「君とは毎朝会っているから、顔はよく知っているのに肝心なことは何も知らない。
知っているのに何も知らない」

彼はクスっと笑った。

「私も、ずっと不思議な気分でした」

「やっぱり?」

「はい」


「でも、昼間、君に会ったときは本当に驚いたなぁ」

「私もですよ」

「僕のこと探した?」

「探そうと思ってました。
だけど人が多いから、途方にくれてました」

「じゃ、すごい偶然だ」


・・・運命だよ