「じゃ、行こっか?矢神さん。」
外に出るなり津川君はいきなり手を差し出してくる。
「え...っと、この手は...?」
すると津川君は曇りのない明るい笑顔で、
「矢神さん...すぐに出て来れなかったってことは、体調悪いんでしょ?俺が登下校、サポートしなきゃなって思って。」
うーんと、こういう場合、どう断れば...
「あ、えっと...一人で行けるから大丈夫...」
と、私がいうと津川君は、
「いや、大丈夫じゃないよ!?矢神さん、今すっごく顔色悪いよ!?」
えっ....。
さっきまでむしろ普通だったんだけど....。
もしかして、リオと離れたから?
でも.....
「とっ、とにかく大丈夫だから...!ほ、ほら、もうそろそろ授業始まっちゃう時間だし、津川君まで遅刻になるの悪いよ...!!」
必死に絞りだした断るセリフ。
やっと、津川君は諦めてくれたみたいで....
「そっ...か。うん、分かったよ!じゃあ、先に行って待ってるから!!」
......津川君はそういうと、さっさと駆けだしていってしまった。
なんか...一気に嵐が過ぎ去った感じ...。
津川君には申し訳ないけど...。
それにしても...
何で津川君は私の家が分かったんだろう?


