「僕達、一緒に暮らし始めてから
もう30年以上になるね」

「そうだな、早いもんだな」

「いつまで、こうやっていられるかな」

「渚…急にどうした?」

「僕は55歳で恭司は62歳」

「そうだ」

「志岐さんが亡くなって
考えるようになったんだ」

「何を?」

「亡くなった後の事だよ
恭司は、普通に考えたら
並木家のお墓があるからそこでしょ
でも、僕には桜木家のお墓はないから
海に散骨かな」

「渚に言うの忘れてたんだけどな
俺自身も最近知ったんだ」

「うん」

「俺達の墓あるんだ」

「恭司が僕に黙って買ったの?」